大変珍しいアンティークサフィレットのインタリオの銀製リング。
サフィレットの中でも、神話や古代のカメオモチーフ、ムーンフェイス等でカメオをご存知の方は多いと思いますが、表面に浮き出すのではなく沈み彫りのインタリオの方はあまり見られず、かなり珍しいものです。
サフィレットのインタリオ自体は過去に数点市場に出ています。
ギリシア神話のカリス(三美神)と思われる円形のもの、ヴィクトリア時代の男性なのか、グレーハウンドを伴い馬で狩りをしている場面のマーキーズ型のサフィレット等々、いずれも一点ものらしいです。
実際にそれらが古いものかは判りませんが、カリスも狩りのシーンもジュエリーではヴィクトリア時代に好んで用いられたモチーフではあります。
こちらもまたヴィクトリア時代に起こった懐古趣味の古代ギリシャブームで銅版画などによく用いられたギリシャ・ローマ時代の図柄です。
肖像の男性はヘルメットを冠っているので、恐らくモチーフにされることの多かったギリシア神話・トロイア戦争の英雄、プティア王子アキレウスと思われますが、サフィレットのみならずインタリオでは珍しいのではないでしょうか。
本物の古代の出土品ではアキレウスは髭のある姿で描かれていますが、ヴィクトリア時代にも人気のあったアキレウスやトロイア王子パリスは髭無しの若者の姿で描かれることが多く、パリスの方はその経歴から鎧兜姿ではないことが多いです。
トロイア戦争の英雄はやはり多々甲冑&ヘルメットで描かれ、また、ギリシア神話の主要な神々ではヘルメットに羽が付いていると伝令の神ヘルメスですが見当たらず、戦の神アレスも大抵甲冑&ヘルメット姿ですが、アキレウスほど人気のあったモチーフではありません。
カメオではギリシア神話モチーフのモールド(一点ものではない)もあります。
こちらと同じデザインのインタリオは見かけませんので、元々の形状がこの部分のままかは不明です。
サフィレットの色味は典型的なブルー&赤味ブラウン。
ムーンフェイス等と同じ色味です。
横から見ると台形のように厚さが異なり、やや厚みがあります。
縁に古い時代のチップがある以外、インタリオには目立つ傷気なく大変状態が良いです。
サフィレットは直径約14.10mm。
リングは銀製でホワイトゴールドプレート、フリーサイズ。